自筆証書遺言書と検認申立

行政書士になる数年前に親族の相続に深く関わった時の話です。

相続開始直後に亡くなった被相続人の友人より「遺言書を預かっている」と話しがあり、実際にその書類をみたところ、手書きの遺言書のような書類が実際存在していました。
文面では、不動産を売却した売却代金をある方に遺贈するという内容を伴うものでしたが、当時私は遺言書についてよくわかっておらず、念のため二人の弁護士に相談したところ、両弁護士とも「自筆証書遺言書として要件が整っている」さらに「文面から遺言書を預かってはいる方が遺言執行人になる」との見解がありました。
この見解を推定相続人及び受遺者(予定)に連絡し、検認の手続きをすることにし、私の方で検認のための書類を全て準備し、書類を保管していた友人の方と一緒に東京家庭裁判所立川支部に行き、申立書を提出してきました。

その後予定の日を過ぎても友人の方から音沙汰がなく心配し始めた時に、家庭裁判所から私の方に「裁判官(書記官?)が確認した結果、遺言書としての要件が整っておらず、提出した書類をさし返す旨を〇〇さんに伝えたのですが、来てくれないので梅村さんから伝えて貰えませんか?」という電話がかかってきました。
私は勿論内容を聞いてなかったため理由を聞くと、書類に「遺言書」という記載がなく、書面タイトルが「委任状」であり内容も友人へ財産処分手続きを委任するものなので認められないということでした。

今、行政書士になって思うに、自筆委任状のような事後に公の機関に認定してもらうケースでは、疑問を生むような書類は絶対に作成すべきではなく、100%のものを作成するということです。

なお、2020年7月10日より自筆証書遺言書保管制度が始まり、自筆証書遺言書を法務局に預けると検認が不要となる制度が利用可能となり、今後検認を必要とする自筆証書遺言書は少なくなっていくと思われます。

おそらく故人は友人と一緒に自筆証書遺言書の要件を満たしていると思って、書類を自分たちで作成したのでしょうが、故人と友人からすると残念な結果になりました。

このあと、この相続については、相続放棄、数次相続、代襲相続が生まれる様々な事件、問題が発生し、今私が行政書士として相続関係を扱うにあたっての貴重な経験となっております。 
内容は後日触れたい思います。

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