代襲相続と数次相続

先日投稿した私が行政書士になる前に関わった相続に関する続きです。
自筆証書遺言の検認が裁判所で否認されたことで私は、本相続の手続きから手を引くつもりでしたが、当初法定相続人ではなかった妻が数次相続が発生したことで代襲相続の結果、相続人となることになり、引き続き手続きに関与することになりました。

妻と亡くなった被相続人との関係は、妻から見ると亡くなったのは祖父の弟でした。亡くなった方は生涯独身であり、明治生まれの昔の方なので本人を含め兄弟が10人でしたが、相続が発生した時点で生存していたのは、一番下の妹さんだけでした。
そして、10人兄弟の中で、結婚し子供がいたのが亡くなった妻の祖父だけでした。
つまり、法定相続人となるのは、生存している妹と妻の祖父の子供たちに代襲相続が発生していました。
ただ、祖父の子供たちの中で妻の父親は、相続発生時、既に亡くなっており、民法の規定で兄弟への相続において代襲相続は1代限りとなるため、妻までに降りてこないと考えていました。
しかしながら、被相続人が亡くなった翌々月に妻の父親の弟(妻からみて叔父さん)が亡くなり、その叔父さんも生涯独身であったため、この方が本来受ける相続分が結果的に代襲相続として降りてくることになりました。
つまり、数次相続が発生したのでした。
ちなみに数次相続(すうじそうぞく)とは、被相続人の遺産相続が開始したあと、「遺産分割協議」や「相続登記」を行わないうちに相続人の1人が死亡してしまい、次の遺産相続が開始されてしまうことを言います。

ということで、相続が発生 ➡ 遺言書の検認が否認 ➡ 数次相続発生による代襲相続 により妻が相続人となり、引き続き本相続に深く関わることになりました。
因みに数次相続発生前(妻の叔父さんが亡くなる前)に代襲相続をうけることができる兄弟全員は、亡くなった被相続人との付き合いが少なかったことで、相続開始から3か月以内にプラスの財産とマイナス財産の把握が容易にできない状況であったため、相続放棄の申し出を裁判所にしていたのでした。

図を描かないと解りづらいかもしれませんが、この時点で被相続人の妹さんと妻及びその兄弟だけが相続人となりました。
ただ、ここで終わりではなかったのです。
しばくして今度は相続人である妹さんが亡くなられ、妹さんの相続開始となりました。
妹さんも生涯独身であったため、唯一子供がいた妻の祖父の子供たち(妻の叔父さん叔母さん)、つまり元々の相続で相続放棄した妻の父親の兄弟が改めて別の相続で代襲相続を受けることになりました。
この時点で、私と亡くなられた妹さんの法定代理人が調査を進め、被相続人の相続での遺産も明確になり、負債がないこともクリアになったこともあり、妹さんがうけるべき相続で借金が発生しないことが約束されたため、この妹さんの相続では兄弟の皆様は単純相続を選択されました。

元の相続から見ると2つ目の数次相続が発生した結果、相続人は「妹さんと妻及びその兄弟」から「妹さんの代襲相続人(妻の叔父さん叔母さん)と妻及びその兄弟」になりました。
そして、漸くここで相続人が確定することなったのでした。

今後はこうした短期間で複数の数次相続と代襲相続が発生するケースは少なくなるかと思いますが、過去の相続を放置している場合においては、相続人が広がり、また亡くなる方もでてくるので、相続は早め早めに終わらすことを強くお勧めします。

次回は、被相続人が行っていた不動産事業に関してお話したいと思います。

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